スギ花粉

スギ花粉とその症状                         


                                                 

スギ花粉とその症状





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スギ花粉とその症状

 わが国の花粉症の約80%はスギ花粉症だといわれる。スギ花粉症の原因となるスギ(ニホンスギ)は、北海道と沖縄を除く日本全国に
分布し、2月上旬から4月にかけての開花期に黄色の細かい花粉をまき散らす。スギ花粉がいっせいに舞い上がると、杉林の上空は黄色く
染まるほどだ。
 

 わが国でスギ花粉が問題なのは、花粉症の原因となるニホンスギがわが国固有のものだからだ。第2次世界大戦後、焼け野原になった国土を再建するために、政府は造林計画を立てて、樹木のうちでも成長が速いスギを全国に植林した。成長が速いという点で建築木材としては最高だったわけだが、外国からの輸入木材が建築に使われるようになってからは伐採される量が少なくなり、現在では針葉樹林のうち約45%をスギが占め、「花粉製造樹木」になってしまっている。
 
 
とはいっても、東京や大阪などの大都市ではスギの木を目にすることはほとんどない。それなのに、どうして山間部よりもむしろ大都市でスギ花粉が舞い散り、スギ花粉症が問題になるのか?
 
 
それは、スギが風媒花だからだ。雄花から飛び出した花粉は風によって雌花に運ばれて受粉する。1つの雄花から約3万2千個の花粉がより優秀な子孫を残すために近親結婚を避け、より遠くへと風に乗って60〜80キロの旅をする。たとえスギの木が1本もないところに住んでいても、半径80キロの円内にスギの造林があれば、スギ花粉から逃れられないというわけだ。
 
 
 
 だが問題は、スギ花粉が増えたことばかりではない。大気汚染や食生活の変化も、スギ花粉症が激増した大きな要因だと考えられている
スギ花粉だけが問題ならば、都市部よりも花粉が多い山間部で花粉症が多発するはずだ。が、実際は都市部に住む人たちに花粉症患者が多
い。その原因として、自動車の排気ガス中に含まれるディーゼル排出微粒子による大気汚染が考えられている。この物質と花粉が結合する
と、花粉症などのアレルギーを引き起こしやすいというものだ。
 
 

また、食生活の変化がアレルギーを起こしやすい素地をつくっていると指摘する声も少なくない。第2次世界大戦後の食生活の欧米化は、大腸がんや虚血性心疾患などによる死亡の増加の背景として取り上げられることが多いが、アレルギー性鼻炎の増加にも一役買っているのではないかとも考えられている。脂肪やたんぱく質の摂取量が増えて炭水化物が減ったことが、若年層の体質をアレルギーを引き起こしやすいものに変化させたのではないかという。



くしゃみ・鼻水・鼻づまり。時には死にたくなることも

 花粉症の主な症状は鼻に出る。くしゃみ・鼻水・鼻づまりというように、一見すると風邪と間違えやすい。

だが、風邪によるくしゃみとは違って、花粉症によるくしゃみは連続して10数回、あるいは1日中絶え間なく出る。くしゃみが止まらないために、腹筋や胸筋を痛めることもあるほど全身に影響するひどいものだ。
 
 
鼻水は、風邪の場合はだんだん粘着性が出てきて最後には黄色くなるが、花粉症ではさらさらとした水のような状態が最後まで続き、鼻をかめどもかめども流れ出る。
 
さらに鼻づまりは、最もつらく深刻な症状だ。鼻の粘膜が腫れてふさがると、鼻では息ができなくなり、口を開けて呼吸をしなければならない。夜、口を開けて眠れば朝にはのどがカラカラになり、眠れない日々が続くと日中の活動に支障が出てくる。イライラ、ムシャクシャ、睡眠不足からくる倦怠感。最近は花粉症の名が市民権を得て職場で患者が白眼視されることはなくなったが、以前は怠け者と非難されることも少なくなかった。
 
 このほか、目や皮膚、のどなどにも症状は現れる。目のかゆみ、白目やまぶたの腫れ、ゴロゴロ、痛み、かすみ、さらには涙がぼろぼろ出て目を開けられないこともある。皮膚は露出しているところ、つまり首などに花粉がたまって皮膚炎が起きる。のどにも花粉が付着してかゆくなったりせきが出る。
 
 一層深刻なのは、こうした1次的な症状から起こる2次的な症状、例えば頭が重い、ボーッとする、イライラする、眠れない、仕事の能率が悪くなるなどによって、気が滅入り、死にたいと訴える人もいるほどだ。花粉症の主症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりだとはいっても、そのことから派生して日常活動全般に支障を来していることを思えば、決して軽く見ることはできない。